蓄電池の種類
現在利用されている家庭翼蓄電池・産業用蓄電池は、正極(+局)、負極(-局)の素材の種類によって4種類に分類されています。4つの種類それぞれについて、その特徴をまとめました。
蓄電池の種類その1:鉛蓄電池
鉛蓄電池は、電解液に希硫酸を使っています。プラス極に二酸化鉛、マイナス極に鉛を用いた、もっとも古くからある蓄電池で、自動車のバッテリーやバッテリー駆動の電動車の主電源として利用されています。価格が安く、実績があるのが長所ですが、繰り返し充電することで性能が低下してしまうのが欠点です。
それぞれ、極板の種類によって、衝撃や振動に強いクラッド式、自動車用バッテリーや無停電電源として使われるペースト式があります。また、精製水の補給が必要なベント形鉛蓄電池と、維持運用のしやすい制御弁式鉛蓄電池という分類もできます。
寿命が長いのも特徴で、平均寿命は17年、充放電3,150回ほどが寿命だと言われています。一方、エネルギー密度が低く、コンパクト化が難しいのが難点です
ニッケル水素電池
高出力、高容量で、しかも寿命が長いため、人工衛星用バッテリーとして開発されたのがニッケル水素電池。エネルギー密度が高いため、エネループなどの充電池や、ハイブリッドカーの電源に用いられます。急速充放電ができるので、鉄道やモノレールの地上蓄電設備としても使われています。
5~7年、2,000回ほどの充放電で寿命を迎えるため、寿命は短めです。
リチウムイオン電池
コンパクト化の面で優れているのが、このリチウムイオン電池。プラス極にリチウム含有金属酸化物、マイナス極にグラファイトなどの炭素材、電解液に有機電解液を用いています。
エネルギー密度と充防電エネルギーの効率が非常に高いため、現在もっとも普及している蓄電池だと言えます。携帯電話やパソコンをはじめ、最近では電気自動車やスマートグリッドへの利用のための研究開発もされています。
住宅や事業所などに導入される蓄電池も、現在はこのリチウムイオン電池が主流です。補助金制度もリチウムイオン電池が対象となっています。
6~10年、3,500回ほどの充放電が寿命とされています。
NAS電池
エネルギー密度が高い一方で、価格を抑えることができ、かつ長寿命という優れた性能を持つのがNAS電池。大規模蓄電池や工場などのバックアップ電源として利用されることが多いようです。
プラス極に硫黄、マイナス極にナトリウム、電解液にはβ-アルミナが利用されています。硫黄とナトリウムが危険物にあたるため、取扱いや保守作業が必要です。唯一、安全性の面が欠点と言えます。寿命は15年ほどと長く、充放電の回数には制限がありません。
とはいえ、高性能であることに変わりはなく、今後の大容量蓄電池の普及に役立つことが期待されています。
家庭用蓄電池と産業用蓄電池の違い
電池の種類だけでなく、用途によっても蓄電池の種類は分けられます。
家庭用蓄電池は、基本的に大きさを抑えるように設計されています。停電時の電源として使えるよう、太陽光発電とし連携し、家全体の電力がまかなえる容量のものが普及しつつあります。具体的な蓄電容量は1kWh~15kWhほど。
一方、産業用蓄電池は10kWh~20kWh台のものが多く、最大では60kWhを超えるものも登場しています。大容量が求められることもあり、複数台の蓄電池を使ってシステムを構成することもあります。