「太陽光発電は損をする」と言われてしまう原因
「太陽光発電は損をする」と言われてしまう原因
業者選びに失敗してしまう
残念なことに、世の中は善い業者ばかりではありません。
業者の中には悪質な業者もおり、契約だけさせて施工前に倒産、投資をさせるだけして雲隠れ、施工が不十分で架台などが倒れてしまうなど詐欺やそれに近いことをしている業者は一定数存在しています。どうしたらそういった業者に当たらずにすむでしょうか?
まず、業者を選ぶ際はすぐに業者を信用せず、インターネット上の口コミや太陽光に関する情報サイトを活用して自分で情報収集をしてみましょう。有料の信用調査を利用するのもアリです。かならず複数の情報を照らし合わせて、その業者に矛盾がないかを見極めるのがおすすめです。
また、頼んでみたい業者に問い合わせをして受け答えを確認するのも有力でしょう。良い業者は説明が丁寧なので、質問に対して具体的な回答を返してくれるはずです。
見積もりを確認する際は
- 表記が「一式」となっておらず、細かく分類されていて詳細が書かれている
- 詳細の質問に対してキチンと応えてくれる
- 提案が複数ある
- 施行経験が豊富で記録が残っている
- 支払い方法を一括ではなく分割でも受けてくれる
などを注意してチェックすれば、悪質な業者に引っかかる可能性は低くなるでしょう。
太陽光発電の投資は決して安いものではありません。軽い気持ちで始めることはせず、慎重に選ぶよう心がけましょう。
見積もりを1社しかせず、相場より高い金額を払わされた
低圧発電所を施工する際、費用として1000万~2000万円ほどかかります。
どのような低圧発電所かによって金額は変わってくるでしょうが、全く同じ条件の低圧発電所で見積もりを出しても値段が全く同じになるわけではありません。
どんな材料を使っているか、どんな施工をしているのか(下請けにまわしているのか、自社施工なのか)同じ条件の発電所だからといって同じ施工をしているとは限らないのです。業者によって、様々な施工スタイルがあります。
見積もりを出す際は1つの業者だけでなく、必ずいくつかの業者と比べてみましょう。その時に気をつけなければならないのは、「金額が安ければ良い」というわけではないということ。大事なのは、「見積もりの内容」です。杭は何本使うのか、どんなケーブルを使用するのか、耐久性はどうか、施工後のアフターはどんな内容なのか。そういった点に注意して担当者の方とよく相談しましょう。
相場より高い金額を払うのも避けたいところですが、相場より安いからといって依頼し、事業計画がうまくいかないのでは結局損をする事態になってしまいます。
初期にかかるものは太陽パネル、周辺機器、用地取得費、連携工事費負担金、フェンス代、メンテナンス費用、保険料などです。これらの費用を比較検討する際は、経済産業省の調達価格等算定委員会の資料を利用すると便利でしょう。
売電シミュレーションがうまくいかなかった
業者の売電シミュレーションを鵜呑みにせず、現実的に考えることが大切です。シミュレーションはあくまでシミュレーション、「滅多にうまくいかないけど、うまくいったらこんくらい」とあらかじめ把握したうえで始めましょう。
かといって、売電シミュレーションを全く見ずに太陽光発電投資に手を出すのはもっと危険です。業者の売電シミュレーションは鵜呑みにできない、でも売電シミュレーションは必要。では、どうしたらよいのか。
まずは、自分で売電シミュレーションをしてみましょう。
年間売電収入=パネル出力(kwh)×1100×売電価格
この計算式で大体の発電量を計算することができます。
また、太陽光発電には日射量が重要なファクターとなります。
NEDOの日射量データベースを利用して、設置場所の平均日射量から年間出力を出す計算方法も有効です。
年間の発電量=日射量×365×kW数×ロス率
この計算式は、ロス率によって売電収入が変わってきます。
事業計画を作成時は80%~85%にしておけば良いでしょう。
このような計算式を利用して自分なりに売電シミュレーションを行い、業者の提示する売電シミュレーションと見比べて利益が出るかを確認するのも、失敗のリスクを抑える方法の1つです。
また、売電シミュレーションの方法を調べておき、その業者がどのような根拠をもとにその数字を算出したのかを聞くのも有力かと思います。真摯な業者であれば、分かりやすく教えてくれるはずです。
毎月の発電量をチェックしていないため、メンテナンスが遅れてしまう
こまめなチェックをすることで、損をする可能性を防げます。毎月の発電量をチェックしておき、先月やその前の月と比べて数字に大きな差が出ていないかを確認できればその際の対応や相談も早めに行えるでしょう。
また、自然エネルギーを利用する太陽光発電は、自然の恩恵を受ける分だけ自然の脅威にもさらされています。
費用がかかるからとメンテンナンスを怠ると、万が一の事態への対応が遅れるでしょう。太陽パネルやケーブルから出火したり取りがブレーカーボックス内に巣を作って発電量が落ちたりなど、考えられる不具合やトラブルはいくつもあります。
他にも雑草が育ちすぎてパネルにダメージを与える、伸びた草の影で発電量が落ちる可能性など、チェックを怠ることはデメリットにしかなりません。発電量を細かくチェックしていれば、すぐに以上に気づけるはずです。
また、再エネ特借法では、太陽光発電の事業者に対して設備の保守・点検、発電量の維持が義務づけられており、これにより適切なメンテナンスを行っていない場合、事業認可が取り消されてしまう恐れがあります。
太陽光発電をできる限り良い状態で維持しつつ、快適に利用するためにも毎月の発電量のチェックやメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
適切な売電をできていない
2019年度の買電・売電の相場は、電力会社から購入する場合28~31円ほどで、家庭用太陽光発電の売電は26~28円です。
※電力会社、料金プラン、導入年度により変動あり。
自家消費との組み合わせを考えつつ、収支バランスを調整が必要となります。
たとえば、電気料金が割高になる日中などの時間帯は太陽光発電から、割安な夜間は電力会社から電気をまかなう。あるいは発電した電気を売電しないなど、ただ電気を売るのではなく、自家発電によって光熱費を浮かすことで利益を生む方法もあります。
発電した電気の使い道、電力会社からの買電の使用率についても考えましょう。また、自分だけで考えるのが難しい場合は、業者に相談するのも一つの手段です。
損をしないためには
まずは適切な業者を見極め、いくつかの業者を比べて見積もりの内容をしっかり確認しましょう。
第一に設備費用の導入コストをどれくらい抑えられるかが重要ですが、その際、金額の安さだけでなくアフターケアや保障制度がしっかりした業者を選ぶことも大事なポイントとなります。
また、導入前に売電シミュレーションをしておくのも大切です。
すべて業者任せにせず、自分でもよく勉強し計算したうえでの運用が重要となります。売電をするのか、自家の電気をまかなうのか、収支バランスを考えて業者に自分の考えを言えるようにしておくと、スムーズに事が運びやすいでしょう。
シミュレーションの際は複数の業者を比較して、どこが自分の希望に合っているかを確認してください。実績や経験、メンテナンス内容など、自身が住む地域の天候や土地柄などに合わせた設置や対応が可能か相談してみるのも方法の1つです。一括見積りをすれば、各業者の価格を見て適正かどうか、依頼するうえでの基準にもなります。決して一社だけを見て決めず、「ここなら安心して任せられる」と思える業者を選びましょう。
また、導入後のメンテナンスもまめに行いながら、上手く発電できているかを自主的に確認してください。他人任せにせず、自分でも発電状況を確認することでトラブル防止に繋がります。自分の発電所に不備がないかは、毎月の発電量を確認していれば分かるはずです。
そのほか、都道府県や市町村の補助金制度をチェックし、設備導入時のコスト削減を狙うのも良いでしょう。