メーカーごとの特徴
蓄電池を開発・販売しているメーカーについて調査をしてみました。メーカーごとの特徴や、メーカー・製品選びのポイントについてまとめています。
大手家電メーカー
●京セラ
蓄電容量が大きく、長時間の使用にも耐えうるのが京セラ製品の特徴。14.4kWhのシステムでは最大24時間の連続使用が可能なので、災害時にも安心感があります。また、業界に先駆けて10年保証制度を始めており、信頼度の高さがうかがえます。
●シャープ
シャープは、8,000回の充放電をしても70%の容量を誇る、長寿命製品をリリースしています。太陽光発電システムとの連携による「電力見える化システム」で、充電した電気がいつなくなるか目で見ることができます。
また、寒冷地や重塩害地域にも対応できる、コンパクトな屋内専用製品も開発しています。
●NEC
電気自動車やハイブリッドカーの電池に採用されることが多い、NECの蓄電池。リチウムイオン電池の実績は飛び抜けています。
発熱を抑えた設計でファンレスを実現し、動作音が小さい製品を実現しました。しかも薄型ボディなので、設置場所を選びません。充放電機能だけでなく、エネルギークラウドを利用した24時間見守りサービスも提供しています。
●東芝
NEC同様、リチウムイオン電池に高い実績があります。世界中の電気自動車や地下鉄、あるいはビルなどで利用されているのが東芝の蓄電池です。ライフスタイルに合わせた動作を、カスタムメイドできるという特徴があります。
●パナソニック
豊富な商品ラインアップを誇るパナソニック。小型ながら大容量、高出力なため、家庭用蓄電池として優れた製品を開発しています。家庭向け壁掛けタイプなど、便利に使える製品が多いのも特徴のひとつ。
非家電メーカー
一般家電の製造はしていないものの、蓄電池などのエネルギーの分野では高い技術力を誇るメーカーもあります。
●因幡電機産業
電機関連設備業界では有名な企業で、業務用、家庭用両方のリチウムイオン蓄電池を製造しています。ベーシックタイプのものは補助金の対象となっています。
●GSユアサ
日本電池とユアサグループが統合してうまれた電池メーカーです。自動車などの鉛蓄電池では国内シェアトップのメーカー。リチウムイオン蓄電池のタイプと、リチウムイオンではないものの急速充電機能のついたものがあります。
●ニチコン
その名の通り、コンデンサの製造を行っている企業。SIIの補助金の対象となる、家庭用蓄電池の製造も手がけています。
主力商品ホーム・パワー・ステーションは、屋外に設置し、屋内からリモコンで操作できるシステム。増設ユニットを使って、大容量家庭用蓄電池システムを構築することもできます。
●エリーパワー
エリーパワーは大型リチウムイオンの製造販売メーカー。もともとは慶応大学発のプロジェクトですが、大和ハウスやシャープなどの大企業からの投資を受けるベンチャー企業です。
補助金の対象となる製品も取り扱っているので、要チェックのメーカーです。
●エナックス
リチウムイオン蓄電池と蓄電システムの製造販売を行うメーカー。マンションやオフィスビル、医療施設などで導入される製品を取り扱っています。
非常時に確実に動作するシステムがポイントで、安心して設置することができます。
●アイエムティ
ENEXELというハイスペックなリチウムイオン蓄電池を製造しているメーカーがアイエムティ。電子回路や電子機器の開発設計を行う企業です。
屋内外どちらにも設置可能で、移動も容易なのがアイエムティの製品の大きな特長。設置場所の自由度が高いです。
●フォーアールエナジー
フォーアールエナジーはリチウムイオンバッテリー専門のメーカー。日産自動車、住友商事の出資により誕生したメーカーで、今後も大きな発展が期待されています。
フォーアールエナジーの家庭用蓄電池は、かなり大きい容量を誇ります。非常時でも余裕を持って使うことができるので、万が一の備えとしては優秀な製品です。
メーカー選びのポイントは?
これだけたくさんのメーカーの中から、導入する製品を決めるのはなかなか難しいもの。そこで、比較のポイントにしたい点を挙げてみました。
必要な蓄電容量を満たしているか
蓄電池は電気を貯めながら使用していき、また電気を貯めてと繰り返しながら使っていきます。身近なものでたとえていくと、スマートフォンが分かりやすいと思います。スマートフォンで重視することといえば、スペックの高さや画素数などが挙げられますが内蔵されている蓄電池の容量を皆さんも気にするのではないでしょうか?当然、蓄電池に電気を貯めておく容量が多ければ多いほど、充電なしで連続使用できる時間が長くなります。
家庭用蓄電池の場合は、通常電力会社で発電した電気と併用して蓄電池に貯められた電気を使っていくことになるので、蓄電の容量が多ければ多いほど蓄電池の電気使用の割合が増えて節電効果がありますが、容量が大きければ価格も高くなるので普段使っている電力量から適正な容量のものを採用した方が良いでしょう。
またスマートフォンと同じように、電力会社の電気に頼らず蓄電池のみを使う場面が出てくることもあります。それが停電です。停電が起った場合、当たり前ですが電力会社からの電力供給がストップしている状態なので、電気は使えません。しかし蓄電池が備えてあれば、蓄えていた電気を住宅に供給して非常用電源として使用できます。この時、蓄電池の容量が多ければ多いほど長時間使用が可能になります。
設置したい場所に収まるサイズか、
蓄電池を設置することになると、電源BOXを住宅のどこかに設置しなくてはならなくなります。
現在、各メーカーでは屋外用と屋内用の2種類の蓄電池が用意されていて、小さいものだとかブレーカーが収められている分電盤サイズのものからございますが、大容量になってくると当然、蓄電池も大きくなりスペースを大きく使うことになります。そこで大事になってくるのが設置を予定しているスペースに蓄電池が収まるのか否かということです。蓄電池は上記1項でも話しましたが、容量が大きければ大きいほど長時間使用が可能です。そのことから、なるべく容量が多いものと考えがちですが、そればかり重視してしまうと想定していたよりもスペースを圧迫してしまうことや、収まらないということも考えられます。
分かりやすく例を挙げていくと、ソファーを購入して自宅へ設置したら思ったサイズよりも大きくて、邪魔になってしまった!みたいなことが起こり得ます。
また蓄電池は置き場所の制限があります。まず蓄電池自体が電気を貯め込み使用する際に熱を持つため、熱がこもりやすく湿気の多いところでは劣化が激しくなってしまうので設置できません。屋内設置の場合は分電盤に配線を経由して電力を供給するため、分電盤のそばに設置するなどの制限が出てきます。
工事などの経費、補助金なども含めて、予算内で導入ができるか
日本は地震をはじめ、災害が多い国なので蓄電池への認知度は非常に高いといえます。非常用電源や節電対策として蓄電池の導入に関心を持っている方も多いのですが、普及率はまだまだ一般的とはいえません。
その理由として購入費用や設置費用に大きなコストがかかるからです。蓄電池の容量やメーカー、設置業者により金額も異なりますが、設置費用は高額なものになってくると車の国産ミニバンが購入できるぐらいの金額になってしまいます。
そのことからわざわざ高いコストをかけて設置するほどのものかと、検討していたとしても二の足を踏んでしまう方が多いのです。そこでこの状況を打破するために各地方自治体では蓄電池を普及させるべく、補助金を導入しているところがあるのです。各地方自治体により補助金の金額も異なる上、なかには導入していない地方自治体もあるという状況ですが、設置費用が最大半額になる地方自治体もあります。
補助金を上手く使える状況の方ならば、二の足を踏んでいた蓄電池の設置が現実的になるかもしれません。補助金を上手く活用した上で予算内にコストが収まるのかを検討してみましょう。
蓄電池の寿命、充放電の回数の限度は十分か
蓄電池というのは結論から言うと、充電と放電を繰り返せば繰り返すほど寿命が短くなります。ここでもスマートフォンを例えに持ち出しますが、みなさんも2、3年同じスマートフォンを使用していると最近すぐにバッテリーが減るなと感じたことや、いくら充電しても100%充電されないなどの問題が起こりませんか?
このようなケースはバッテリーが徐々に寿命を迎えている証拠なのです。蓄電池というのは電気を貯めこむことができますが、貯めこむ段階で電気の負荷を受けることになるのと放電する際にも負荷がかかることで、徐々に内部が痛んでいき劣化していくものなのです。そのことを踏まえて、各メーカーの蓄電池には充放電回数による寿命の目安というものが定められています。蓄電池の設置は寿命までの年月と予算とが見合っているか否かが重要になってくるのです。
寿命を迎えてしまったら蓄電池を新しいものに買い換えるしか改善する方法はないので、その都度コストがかかります。しかし低予算のものを採用して費用を調整してもその分、蓄電池容量は少なくなってしまいますし、容量を増やせば費用は高くつき寿命までの年月までで、元が取れない状況になってしまいます。蓄電池の費用と寿命までの年月のバランスが取れるように、日常生活でどのぐらい電気を使っているか把握しておくことが重要です。とりあえず容量の大きいものを購入しても、使用量が大きく下回ってしまっていたら、初期費用ばかりかかってしまい意味のない容量の大きさとなってしまいます。
太陽光発電との連携が可能か
そもそも蓄電池に電気を貯める際の電力はどこからきているでしょうか?当然、電気は他の場所から水のように汲んできて貯めておくことはできないので、電力会社から供給されている電気を貯めておくしか方法がないように思えます。
しかしそれではただ単純にいつも使用している電力会社の電気を溜め込んでいるだけなので、節電にはなりません。そこで節電するためには新たな電力源が必要になってくるのです。それが自宅で発電が行える太陽光発電です。太陽光発電はみなさんも知っているように太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換して使用するというものです。この太陽光を蓄電池に連携させると、自宅で作った電気を直接蓄電池に貯めこむことになるので、電力会社から電気を購入することがなくなり節電対策になるのです。
そのことから太陽光発電に連携していないと蓄電池を設置しておく意味がないのです。太陽光発電に関しても蓄電池がなければ電気は溜め込んでおく場所がないので、発電しても使いきれなければ、せっかく作った電気を切り捨ててしまう状況になってしまいます。太陽光発電と蓄電池はセットで購入した方がお互いの効率が良いのです。
メーカーの保証内容は十分か
蓄電池のみならず、電化製品などを購入する際は保証というものがついてきますよね?それはいくら有名なメーカーだからといって販売している製品が100%完璧な製品とは限りません。電化製品であっても食品であっても、製品には必ず当たり外れがあるのです。その当たりはずれというものを実際、製品一つひとつ調査することは不可能なので、実際に使ってみなければ分かりません。
そのため、保証期間を設けて期間内の故障や不備が出てしまった場合、無償で修理したり交換するということになります。この期間というのはメーカーにより違い保証する不備の範囲も異なるため、判断は難しくなりますが保証内容が悪いメーカーだと、不備が起きた際に保証適用外となって自腹修理または、自腹再購入というとんでもないことになる恐れも。
とくに蓄電池のような高額なものだからこそ、保証が手厚いメーカーを選択したいものです。
- 必要な蓄電容量を満たしているか
- 設置したい場所に収まるサイズか、
- 工事などの経費、補助金なども含めて、予算内で導入ができるか
- 蓄電池の寿命、充放電の回数の限度は十分か
- 太陽光発電との連携が可能か
- メーカーの保証内容は十分か
重要なのはこの6つのポイントになります。あとは各メーカーごとに独自の機能を搭載していることがあるので、じっくりと比較検討してみましょう。